2022年1月、1週間という束の間でしたがHANDSケニア事務所ではナイロビに交換留学中の佐々木香峯子さんをお迎えし、事業視察と事務所でのボランティアをしていただきました。「アフリカの人たちにとって幸福って何なのだろう?」という根源的で深淵な問いをまっすぐに抱いてナイロビからケリチョーに到着した佐々木さん。HANDSケニアの事業がほんの小さなお手伝いになれたのではないかと職員一同嬉しく思っています。佐々木さんが綴ってくれたその時の体験記を2回に分けてご紹介します。
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2022年の1月3日から1月9日の1週間ほど、HANDSのケニアのケリチョーでの事業視察とオフィスボランティアとして、活動しておりました、佐々木香峯子と申します。ケニアのナイロビにあるUnited States International University-Africa へ交換留学中に、ケニアをはじめとするアフリカでの母子の栄養改善の課題と取り組みの現状について学びたいという理由から、HANDSのボランティア活動に参加いたしました。
ボランティア活動では、学校のトイレやキッチンの建設現場のインスペクションと道路建設の地域住民との事前ミーティングの参加、栄養改善プロジェクトの先生への研修のアジェンダ作成、そして、health behaviour (健康行動)に関する調査のデータ確認などの業務に携わらせて頂きました。短い間ではありましたが、たくさんの学びがあり、大変充実したボランティア活動にすることができました。お忙しい中にも関わらず、受け入れを行なってくださったHANDSのケリチョー事務所の方々に、誠に感謝申し上げます。
アフリカの人々の幸福の追求
人々が幸福になるには何が必要なのか?
アフリカの人々にとって、幸福とは何なのか?
これらの疑問が私のアフリカへの留学への大きな原点でした。幸福という定義や感じ方は、人それぞれであり、そのために必要なことも人それぞれで異なると思います。
しかし、人それぞれの幸福の感じ方がある中で、その幸福に届くための機会や選択肢が全くない人々もいるのではないかと考えていました。アフリカでは、社会的に立場の弱い女性や子どもたちが幸福という状況から大きく距離があるのではないかと思います。そのような人々の価値観や幸せについて、知りたい、学びたいという思いが、HANDSでのボランティアへ志望する1つの大きな思いでした。
この度のボランティア活動を通して、子どもたちの幸福について、また、それらに貢献するために何が必要であるのかを深く考え、学ぶことができ、自身のケニアの経験の中でも、とても濃い日々にすることができました。
トイレとキッチンのインスペクションへの同行
ボランティア活動と事業視察の中で、一番印象深かったことは、幼稚園のトイレとキッチンへのインスペクションへの同行でした。私のHANDSの活動の中で学びたかった、人々の幸福に対する価値観や、国際協力という分野からどのような貢献ができるのかを、現場の声を実際に伺うとともに、勉強させていただくことができました。
初めの学びは、幼稚園までの道のりでした。HANDSのケニア事務所のスタッフの方とともに、急斜面に岩や石が転がっている道を車で走り、畑に囲まれた幼稚園へ向かいました。車に乗っていても感じる急で凸凹な山道を、幼稚園の子どもたちは1人で通学します。子どもたちの逞しさと共に、学校に行くということの大きな壁を感じました。1つの屋根の下、園児たちは勉強していました。少し恥ずかしげに、「マンボー」という子どもたちは、とても可愛らしかったです。インスペクションでは、4つの幼稚園を周り、トイレ、貯水タンク、そして、キッチンを訪問することができました。その中でも、印象的だったのは、トイレの変化でした。HANDSの新しいトイレの建設前のトイレも拝見することができ、トイレ建設の重要性と意義を感じました。幼稚園の子どもたちが以前使っていたボットントイレは、トイレの穴が大きく、小さな子どもがトイレをするには、危険なのではないかと感じました。また、トイレのドアや壁なども衛生的な状態ではなく、以前のトイレは、子どもたちの健康面において、最適ではありませんでした。一方で、HANDSの建築した新しいトイレは、トイレの穴も小さく、穴の縁に段があるなど子どもたちにとって最適なトイレの環境に整備されていました。また、手洗い場も、トイレの横に整備されており、子どもたちの背丈に合わせて、建設されていました。 (写真右上:Emdit幼稚園の建設中のトイレ)
(続く)