ケニア事業:Niko Nikoプロジェクトのその後(2)

2021年に実施したNiko Nikoプロジェクト。2022年10月そのインパクトを知るために簡単な聞き取りをしました。その時の結果を報告します。実施をお願いしたのは、HANDSケニア事務所で長期インターンとして業務を開始したばかりの熱帯医学・グローバルヘルス研究科(公衆衛生修士課程2年)の、原田梨央さんです。原田さんの新鮮な目で見たプロジェクトのその後を2回に分けて掲載します。今回はその2です。(原田さん、ありがとうございました!)
 インタビューを終えて:原田インターン、カロライン、エマニュエル (左から)

[実際に商品を使っている少女たちからの聞き取りの結果]
・月経を取り巻く課題の改善
インタビューを受けてくれた3人は、今年に入ってから、ボニスのショップやエミリーとカロラインによる学校でのプロモーションをきっかけに、布ナプキンを使い始めたと教えてくれました。布ナプキンを使い始めた理由として、2人が「毎月、使い捨てのナプキンを買う経済的余裕がないこと」を挙げ、使い始めてから短期間ではあるものの、月経貧困の解決によって「地域の若い女性たちの健康に長く寄与する」というプロジェクト目標を達成しつつあることが分かりました。また、彼女たちの両親が布ナプキンを使うことをどのように考えているかという質問には、「費用を減らしてくれた」「毎月購入しなくていい」「長く使うことができる」といった好意的なコメントが挙げられました。他にも、毎月ナプキンを買うために町まで行く必要がなくなり、交通費が抑えられたという意見もありました。
・商品の品質
布ナプキンを使い始めた理由について、1人は「布ナプキンがすぐに乾くこと」を挙げました。また、ボニスたちが作った布ナプキンを使うことによって改善された点について、3人とも「とても快適である」「環境にやさしい」「すぐに乾く」「使い捨てのナプキンに比べてライナーが軽い」「布ナプキンがずれないためイライラする原因にならない」ことを挙げました。商品をさらに良くするための改善点を尋ねた際には、全員がすぐに「改善する必要はない」と答え、ボニスたちの商品が少女たちの間で高評価であることが分かりました。
        休み時間にインタビューに応じてくれた少女たち
[エマニュエルからのコメント]
今回のインタビューには、通訳としてエマニュエルに同行してもらいました。エマニュエルは元HANDSの職員であり、Niko Nikoプロジェクトではコーディネーターを務めました。以下に、エマニュエルからのコメントを紹介いたします。
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起業した女性たちは、スムーズにインタビューに答えてくれました。コミュニティ内の若い女性たちに布ナプキン作成のための縫製技術を指導し、布ナプキンを普及させるという点ではうまくいっており、今後はコミュニティ外での販売についての解決策を考える必要があると思います。また、彼女たちは今後の展望を持っていますが、実行に関しては明確な計画がない点が課題であると感じました。提案として、毎月のミーティングでのコミュニティ・ヘルス・アシスタントによるモニタリングとフォローアップが行われることが挙げられます。少女たちについては、質問に対する反応が良く、ボニスたちの商品を快適に使っていることが分かりました。

[聞き取りを通じて]
「安定したビジネスを通して地域の若い女性たちの健康に長く寄与すること」というプロジェクト目標は、「安定したビジネス」を達成するためのさらなる取り組みが必要ではあるものの、達成されつつあります。ボニスは、布ナプキンに関する知識の普及に加えて、
Niko Nikoプロジェクトを通じて得た縫製の技術を他の女性たちに指導し、                               エミリーとカロラインは、SNSが普及していない地域で、限られたマーケットの中でも収入を向上させるために知事や女性代表と会うことを計画するなど、地道なプロモーションを続けていました。また何よりも、彼女たちの話をきっかけに布ナプキンの使用を開始し、毎月ナプキンにかかるお金やそれを購入するための交通費を減らすことができた少女たちの話を聞き、ボニスたちの活動がこの地域の若い女性たちの健康に寄与していることを実感しました。カロラインが「将来は、衣服も作って売りたい」と言ったように、Niko Nikoプロジェクトで得た知識を活かした布ナプキン以外の商品の開発や販売、また、知事や女性代表からの支援を受けるための具体的な計画を進めていくことで、彼女たちのさらなる活躍が期待されます。今回の聞き取り調査の結果とエマニュエルからのコメントを踏まえて、ボニスたちにフィードバックを行う予定です。
      ボニスのデザインと縫製によるシャツを着た息子さん