ケニア事業:「ケニアの子どもたちと守る生物多様性プロジェクト」(地球環境基金助成)活動報告

子どもたちの大きな変化

「ケニアの子どもたちと守る生物多様性プロジェクト」の3年目の終了に近づく中で、現在、HANDSケニア事務所はプロジェクトに携わった方々にインタビューを行い、事業の成果を調べています。子どもたちは身の回りに自生する様々な作物や伝統的な食文化について、伝統的な知識を持つ地域の高齢者に質問をし、聞き取ったことを記録し、伝統的な作物を有機農法で育てる学校菜園づくりを通して生物多様性を実際に守ることを学びました。これらの活動を通して大人とのコミュニケーション、絵画、作文、伝統野菜の栽培や自生樹木の育て方などといったスキルをどのように学び、身につけたかということについて共有してくれました。マサイ族の暮らすナロク郡のエンタシキラ小学校、HANDS事務所のあるケリチョ―郡のキプシテット小学校の児童から寄せられた感想とイラストの一部をご紹介します。

ナロック郡のマサイ族の小学校高学年の女子児童から寄せられました。(以下、スワヒリ語からの訳)
❝私はHANDSの生物多様性プロジェクトに参加し、たくさんのことを学びました。それまで、絵を描くことは得意ではありませんでしたし、果実の育て方や保存方法を知りませんでした。でも、このプロジェクトでは、自生樹木の育て方や果実の収穫方法、また伝統野菜の植え方を教えてもらいました。私の学校、エンタシキラ小学校では、これらの自生樹木を学校の敷地内で大切に育てています。エンタシキラ小学校は、植物を大事にする素晴らしい学校です。❞

ケリチョ―郡の子どもたちが記録した地域に自生する野菜や果実のイラスト。プロジェクトの対象地域の環境や気候によって記録される植物の種類が異なりました。例えばナロック郡では樹木やハーブ、果実が中心でした。残念ながらこの地域の伝統野菜の記録は少数でした。ここは乾燥地帯のため野菜が育ちにくいことに加え、いわゆる「野菜」を食べる習慣が昔から少ないと言われているマサイ族の食文化との関連もあります。一方で年間を通して降雨量の多いケリチョ―郡では様々な伝統野菜が記録されました。地域によって異なる生物多様性を子どもたちの記録から知ることができました。

農作業で工夫するべきことをイラストで説明しています。水やり、畑を野生動物や家畜から守るために囲い、強い日差しから畑の作物や土壌を守るための覆いを作る工程を描いてくれました。

プロジェクトで伝統作物を育てる学校菜園づくりの研修を開催しました。その中で環境に配慮した有機農薬の作り方を学んだ時の様子です。作物を病害虫から守る効果がある唐辛子、にんにく、マリーゴールドを刻んで水と混ぜて発酵させた、環境に優しい手作り妨害虫剤です。出来上がったものは学校菜園で子どもたちによって散布され、作物の成長を見守りました。
本プロジェクトは環境再生保全機構地球環境基金の助成により実施しております。